世界中のフィットネスラバーの間でブレイク中の「HYROX(ハイロックス)」を知っている?日本にも昨年2025年に上陸し、東京・大阪と大会が開かれ、今年8月には千葉での開催も決定。インスタグラムでも練習風景をアップすることがトレンドになっている。
そんなハイロックスの魅力と初心者でも完走できるトレーニングの秘訣を、大阪大会のオープンシングルで日本人1位を獲得し、ハイロックスパフォーマンスコーチとしても活躍する森田光希さんが徹底解説(下記「」内、森田さん)。この記事を読めば、ハイロックスの全てがまるわかり!
専門家:森田 光希(もりた・みき)さん
Read Next
世界で話題沸騰!「HYROX(ハイロックス)」とは?
ハイロックスは2017年にドイツ・ハンブルクで生まれたスポーツ。1kmのランニングと1つのワークアウトを8回繰り返す、持久力と瞬発力を必要とする「ハイブリッド・レース」だ。特定のプロアスリートだけでなく、「Race for Every Body(すべての人のためのレース)」を掲げ、あらゆるフィットネスレベルの人が参加できるのが最大の特徴。
HYROXが世界中で支持される3つの理由
2026年は世界中で合計106回の大会開催が予定されている。のべ約90万人も参加する予定だそう。この人気の背景にあるハイロックスの魅力とは?
①圧倒的な達成感
「ハイロックスは、種目が決まっているので本番同様の練習をしやすいのが特徴。これはどの競技でも言えるかもしれませんが、練習した分だけゴールした時の達成感はひとしおです。
また、持久力・瞬発力といった日々のトレーニングで鍛えることができる力を使うので、目標に向かってコツコツ練習していくと、苦手な種目がある方や、初心者の方も、
成長を感じることができるでしょう」。
②フェスのような熱気のある空間
「会場は音楽がガンガン鳴り、お祭りのような雰囲気。観客とは触れられるくらいの距離感で、会場に来るとその近さに驚くはず。参加者は知らない人同士でも、応援し合う空気感なので、限界の時の力になります!また、大会に出場せず、応援だけ参加することもできるので、大会の熱量を感じに行くだけでも楽しめます」。
③制限時間がない
「 制限時間がないので、タイムアウトになってしまうことはありません。自分の立てた目標に、自分のペースで挑めるのもハイロックスの魅力です」。
HYROXのルールと「全8つのワークアウト」完全解説
ハイロックスは、ランニング(1㎞)+ファンクショナルフィットネスを組み合わせた1セットを8回行う。8つのファンクショナルトレーニングについて深堀りしよう。
① スキーエルゴ/1,000m
1セット目に行うのが、クロスカントリーの動作を取り入れた「スキーエルゴ」。両腕でスキーを滑るようにリズミカルにハンドルを引き下げる。上半身、体幹、下半身を連動させた全身運動で、有酸素トレーニングと筋力トレーニングの両方が必要となる。
②スレッドプッシュ/50m
おもりを乗せたソリを、50m前に推し進める「スレッドプッシュ」。体幹と脚力が試される。8つのワークアウトの中で特に大きな負荷がかかるため、ハイロックス出場者を苦しめるワークアウトと言われている。小刻みで力強いステップが、攻略のコツ。
③スレッドプル/50m
「スレッドプッシュ」で押し進めたソリを、ロープを手繰り寄せて50m引くのが「スレッドプル」。背中の筋力・握力・体幹が必要で、体を連動させた体重移動も重要。こちらも出場者を苦しめるワークアウトだけど、初めはまったくソリを引けない人でも練習を積み重ねると、動くようになるという。
④ バーピーブロードジャンプ/80m
バーピーと前方ジャンプを繰り返し、80mの距離を進む「バーピーブロードジャンプ」。全身を使うため、一気に心拍数が上がるトレーニングでもある。体力温存のコツとしては、ジャンプで距離を稼ぎたいところを我慢して大きく飛び過ぎず、やわらかく脚に負荷をかけないように飛ぶこと。
➄ ローイング/1,000m
水上でオールを使ってボートを漕ぐスピード競技「ローイング」の動きを取り入れたワークアウト。有酸素と筋トレの要素を含む、全身運動。脚・おしり・腕の順で一定のリズムで動かすのが、素早く進めるコツ。
➅ ファーマーズキャリー/200m
両手にケトルベル(重り)を持ち、200m進む「ファーマーズキャリー」。女性16kg×2、男性24kg×2の重さが大会基準(オープンの場合)で、初心者は3kmくらい軽い重りで練習するのがおすすめ。腰を痛めないようにするために背筋を伸ばし、お腹に力を入れるのがポイントだ。
⑦サンドバッグランジ/100m
サンドバッグを背負い、ランジをしながら100m進む「サンドバッグランジ」。女性10kg、男性20kgの重さが大会基準(オープンの場合)で、脚と体幹の筋持久力が重要となってくる。ランジの深さも見られるため、スピード重視というより、確実に進めていく参加者が多い。
⑧ ウォールボール/100回
最後のワークアウトは、スクワットからボールを目標に向かってオーバーヘッドスローする「ウォールボール」。女性4kg、男性6kmの重さが大会基準(オープンの場合)で、全身の筋持久力が必要となる。途中でバテないためには、ボールを体の近くて扱いながら、リバウンドしたボールの力を次のスクワットの動きに活かすのが◎
初心者でも安心!自分に合った4つの参加カテゴリー
8つのワークアウトの内容を見てみるとかなりハードな内容だから、完走できるか不安になる人もいるかもしれない……。でも安心して、ハイロックスには4つのカテゴリーがあり、自分のレベルに合わせてエントリーが可能。あなたにぴったりカテゴリーは?
①オープン:標準的な重量で挑戦する基本部門
「8つのワークアウト+ランを一人でこなすのが『オープン』。初心者でもしっかり練習をすれば、充分完走できるので自分自身と向き合って成長していきたい人におすすめ!」
② プロ:より重い重量で限界に挑む上級者向け
「上級者レベルの筋力が必要なのが『プロ』。未経験者がいきなり出ると怪我のリスクがあるため、準備を万全にしてから挑戦しましょう 。プロの競技中は、高いレベルの白熱する競技がみれるため、観戦するのもおすすめです!」
③ダブルス:2人でワークアウトをシェアできるペア部門
「ランは一緒に走り、ワークアウトは交代で行えるのが『ペア』。初心者でも参加しやすく、ハイロックスで一番人気のカテゴリーです。苦手な種目をパートナーに任せられるため、心理的ハードルがぐっと下がります。男女ペアや女性同士ペアがあり、パートナーや友達と一緒に参加してみてください」
④リレー:4人で参加!初心者や仲間と楽しむ部門
「4人でワークアウトをこなしていくため、よりフィットネス初心者でも参加しやすいのがリレー。各メンバーはランとステーションを2回ずつ担当するため、得意なものだけ取り組めばOK。お祭り感覚で楽しみたい方におすすめです!」
【2026年最新】日本でのHYROX大会情報とエントリー方法
2026年8月、千葉大会の開催が決定。すでにチケットは完売!(2026年5月1日時点)。
開催日程: 2026年8月7日(金)〜 8月9日(日)
会場: 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
チケットの種類と購入手順(Flex Add-Onとは?)
エントリーはHYROX公式サイトから。購入画面で目にし、迷う人も多いのが「Flex Add-On(フレックス・アドオン)」。このシステムについて詳しく解説!
FLEX(通常版):
大会の31日前までなら100%返金、7日前までなら50%の返金が受けられる。長期のスケジュールが不透明な場合や、体調管理を最優先したい人に最適だ。
LITE FLEX(ライト版):
返金対応はないが、レース前日のAM7:59まで「名前の変更(譲渡)」が1回のみ無料。急な予定で出場できなくなった際、友人や仲間に権利を譲ることができるため、チームを組むリレー部門などで重宝する。
※返金・変更には手数料やFlex費を除くなどの条件があるため、規約の最終チェックも忘れずに。
参加費用は?
参加費用は、大会によって異なるが2026年の千葉大会の場合はこちら。
・シングル:24,486円
・ダブルス:23,260円(1人あたり)
・ リレー:18,365円(1人あたり)
持ち物は?
実力を出し切るためにも、役に立つ持ち物があると安心。しっかりチェックしておこう。
・ チケット(QRコード): スマートフォンに保存、もしくは印刷して持参。
・写真付き身分証明書: チェックイン時に必ず提示を。
・信頼できるランニングシューズ:ランとパワー種目の両方を支える一足を持って行こう。
・エナジージェルなどの補給食:
短時間で高カロリーを消費するハイロックス後は、手軽に栄養補給できるジェルやドリンクなどの補給食を持って行くのがおすすめ。
・リストバンドやヘアバンド:
集中力を切らさないためにも、大会中に汗を瞬時に吸収してくれるアイテムは重宝する。
・着替えや汗拭きシート:
会場にはシャワーがないところがほとんど。体を冷やさないためにも着替えや汗拭きシート、タオルなどは持参しよう。
・ポジティブなマインドセット: 緊張をワクワクに変えて会場へ!
【体験記】HYROXの練習にエディターが参加してみた!
世界中で巻き起こっているHYROXブームに、ウィメンズヘルス編集部も大注目。一体どんな魅力があるのかを探るべく、エディターYUMIが体験レッスンに潜入!
初心者でも安心!まずは種目を知ることからスタート
今回訪れたのは、東京・虎ノ門にあるフィットネスジム「Feelin'good」。ここでは初心者向けの基礎から実践的なメニューまで、HYROXに特化したレッスンを展開している。
教えてくれたのは、パーソナルトレーナーの林健太さん。この日はまず、HYROXのベースとなる種目を一通りトライ。ローイングに始まり、スレッドプッシュ、スレッドプル、バーピーブロードジャンプ、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジと、正しいフォームを一つずつ学んでいく。
未経験のローイングでは、足のベルト装着から教わるステップに。一見簡単そうに見えても、実は体重移動がポイント。慣れないうちはぎこちない動きだったけれど、コツを掴むと全身が連動し始める感覚が心地よい。
いつものランジでも「重り」が加わると想像以上にハード!
バーピーやランジなどは普段のワークアウトでもお馴染みのメニューだが、HYROXはここに「ウェイト」が加わるのがミソ。
サンドバッグランジは、重さがある分、背負い方ひとつで体への負担がかなり違う。首を痛めないようスムーズに肩へ乗せる意識など、ベーシックな動きこそプロのアドバイスが不可欠だと実感。
ちなみに、体験中は腕に装着した心拍計の数値がモニターにリアルタイムで表示される。息が上がるにつれてモニターが真っ赤に! クールを装っていても、バテ始めているのが数値でバレてしまうのは、最新フィットネスならではの面白さ。
最も過酷だったステーションは?
経験者たちの間でも最大の難関と言われるのが、「スレッドプッシュ」と「スレッドプル」。ソリを力一杯押すスレッドプッシュでは、初めはわずか10cmしか進まず、その重さとカーペットの摩擦に愕然。しかし林さんから「重心を低く!」とアドバイスをもらい実践すると、驚くほどスッとソリが動き出した。
続くスレッドプル(ソリ引き)も、太いロープが思うように進まず握力と腕力が消耗していく。ここでも鍵は「脚力」。腕の力だけで引こうとせず、腰の重心を落として脚の力で引くようにする「全身を使い切る」感覚は、相当な練習が必要になりそう!
練習をコツコツ積み重ねることから、競技は始まっている!
一連の動きを体験して感じたのは、「いきなりの出場はハードルが高いけれど、だからこそやりがいがある」ということ。
SNSで見る参加者たちがなぜあんなに練習しているのか、その理由がわかった気がする。スピードを求め、効率よくこなすためのコツを掴むプロセス。その「コツコツとした準備」さえも、HYROXという競技が持つ魅力の一部なのかも。
一つひとつの種目を攻略していく楽しさは、まさに自分をアップデートしていく感覚。次なる目標は、この過酷な種目を笑顔でクリアできる自分に出会うこと!
HYROX完走に向けたトレーニングと対策のコツ
ハイロックスの魅力はよくわかった!では、具体的にどんな練習をすればいいの?ハイロックスに2度出場し、日本人1位の実績を持つ森田さんにトレーニング方法を教えてもらった。
【ステップ①】「ランニング」が全体のカギを握る
「まずは走ることに慣れるのが重要です。ワークアウトに目がいきがちですが、競技の約半分はランニング。どの種目に出るとしても、まずは8km(リレーなら2km)を走り切れる体力をつけるのが、土台作りとして欠かせません」。
【ステップ②】ジムで下半身の筋力持久力を鍛える
「ランニングが習慣化したら同時に、ジムで筋力を鍛えましょう。マシンを一通り、20回できる重さで3セット(3周)回るトレーニングが基礎作りとして効果的。ジムに通っていない人でも、自宅ならスクワットやランジでも十分対策になります」。
【ステップ③】ハイロックスの練習ができるジムで試してみる
「ハイロックス大会の本番3カ月前になったら、ハイロックスの競技が体験できるジムに行くのがおすすめ。8つのワークアウトのやり方やコツをコーチからしっかり教わり、自分の体で体験することで、練習から本番のようなトレーニングを行うことができます」。
クロスフィットやスパルタンレースとの違いは?
ハイロックスは持久力や筋力が重要になってくるスポーツということがわかった。「同じように持久力と筋力が重要とされるクロスフィットやスパルタンレースとは何が違うの?」と思っている人もいるのでは。「どれに出ようか迷っている」という方のために、それぞれの特徴を整理。
①クロスフィット
歩く・走る・持ち上げるなど日常動作をベースに、高強度な運動(有酸素、ウエイト、体操)を日替わりメニューで行うフィットネス。世界的な大会「クロスフィットゲームズ」が有名である。ハイロックスは種目が決まっているが、クロスフィットは種目が無限にあり、大会の内容が発表されるのは大会の3日前であり何が競技になるか直前まで分からないワクワク感がある。
大会レベル: 非常に高く、日本では全国から選りすぐりの100名程度しか出られないようなハードル。
違い:大会自体はかなりレベルが高いため初心者の出場は難しいが、クロスフィットの練習は ハイロックスのためのベース体力作り(日常動作の改善)には一番効果的。
②スパルタンレース
2010年にアメリカで誕生し、世界40カ国以上で開催される世界最大級の障害物レース 。5km〜21km以上のランニングコースに、泥、壁、ロープ登り、重り運びなど20〜30個の障害物が設置されており、全身を使ってゴールを目指す過酷な競技。ハイロックスより野性的で、泥や壁など外の環境で行うため解放感が魅力。
大会レベル:ハイロックスのように初心者から上級者まで幅広いレベルのレースがある。
ハイロックスとの違い: 10人程度のグループ参加が可能で、壁を登れない人を助けてOK。ハイロックスは「自分でやり切る」必要があるが、スパルタンはより「助け合い」が強い。
よくあるQ&A
森田さんから、ハイロックスに関するよくある質問に答えてもらった。参加を迷っている人は疑問を払拭させよう!
Q: ハイロックスはどんな人に向いていますか?
「A: 走るのも筋トレも好きな人。有酸素と無酸素を繰り返すハイブリッドな動きは、効率的に痩せたいダイエット目的の方にも最適です」。
Q. ハイロックス初心者でも参加できる?
「A. もちろんです!特にリレーやダブルスならハードルは低いので初心者にはこの2つがおすすめ。まずは3ヶ月前からコツコツ準備を始めることが、完走後の喜びを最大化するコツです」。
Q. ダブルスでペアを選ぶとき、おすすめの基準は?
「A.パートナーを選ぶときは、走るレベルが近い人を選ぶとリズムが作りやすく、楽しく完走できますよ! 」。
まとめ:HYROXで自分の限界を超え、新しいフィットネス体験を!
ハイロックスは、単なるタイムを競うレースではなく、日々のワークアウトで培った強さを証明し、自分をアップデートする競技。
一人でストイックに限界を押し広げるシングル、大切なパートナーと絆を深めるダブルス、そして仲間と熱狂を分かち合うリレー。どのカテゴリーを選んでも、ゴールの瞬間に見える景色は、あなたに一生ものの自信を授けてくれるはず。
「準備をすればするほど、ゴールでの達成感は段違いになります。それはまた次の自分に期待したくなる、素晴らしいポジティブな循環。5歳刻みの表彰もあるので、人生で初めての表彰台を目指すのだって夢ではありません!」と森田さん。
ハイロックスを始めてみたいと思っている人は、普段のトレーニングから意識して練習してみよう!
お話を伺ったのは……
森田 光希(もりた・みき)さん
Crossfit SETAGAYA Co-Founder / HYROX PERFORMANCE COACH。2020年からマラソントレーナーとして活動。2025年4月「Crossfit SETAGAYA」をオープン(Co-Founder)。2026年には、日本女性第一号となる「HYROX PERFORMANCE COACH」の資格を取得。2026年大阪大会のオープンシングル(40-44歳)1位など、数々の大会で表彰台に登るトップアスリート。
<ハイロックス 主要大会成績>
・2025年 横浜大会
Women relay:総合1位(40歳以上カテゴリ:1位)
Mix doubles(40-44歳カテゴリ):2位
・2026年 大阪大会
Open single:総合3位(40-44歳カテゴリ:1位)
MIX relay(40歳以上カテゴリ):1位
Mix doubles(40-44歳カテゴリ):2位
※リレー部門は40歳以下・以上の2部門で表彰。















